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教育のことしか書きません。たぶん。

プロフェッショナル仕事の流儀 数学教師・井本陽久先生

 1月7日に放送されたものを今さらながら見ました。家で録画できないので実家で録画してもらい、わざわざ見に行きました(笑)。でも、それほど気になっていました。

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 基本事項は教えているみたいですが、その場面は放送では特になし。授業は問いを与えてあとは好きに考えさせる。みんな夢中で考えて井本先生はそれを見守るスタイル。前で生徒の考えを発表させたり、いいじゃんって声をかけたり。普通の内容を教えてそれをコピーさせて前で解説する、というスタイルとは違いますね。文章で説明できないので詳しく知りたい人はぜひ見て欲しい。

 

 まず考えさせられたのは、社会に生徒を当てはめるんじゃなくてそもそも生徒たちがいて、社会なんだということ。こうなって欲しいというビジョンがあると生徒たちがそれをできているかどうかという視点で生徒たちを見てしまう。生徒たちが社会なんだから、そのままでいいんだという考え。社会にあてはめようとすると生徒たちが見えなくなる、という意見でした。

 よく、教師というのは指導という視点で生徒たちを見るんですよね。これができてる、できていないっていうのは確かに仕事なんだけどそうするとやっぱり評価ということばっかりしてしまう。何でも抜群にできる子はいいかもしれないけど、そうじゃない子だっている。でも勉強できないからといってその子がダメなんてことは絶対にない。けれど、学校という場所はいろんな手法でレッテルを貼る。井本先生の授業はそんなのおいておく、安心・安全な場が広がっていました。あの授業を受けて生徒が傷つけられることはないと思います。ただただ楽しいから数学に取り組んでいた。

 

 井本先生の教育観ができあがったのかなと思っていたのですが、やっぱり自分がどのような環境というか、親や学校で育ってきたのか、自分がどんな特性があるのかでできあがったのだと思います。井本先生がお母さんと話している場面と回想シーンがあったのですが、何があろうがともかく井本先生は愛されていたというところがありました。井本先生が持っているお母さんの言葉が記録されているメモ帳には自分の子どもたちのことを「とにかく可愛い。可愛いんだから可愛いんです。(多分、少し違います)」ととにかく愛情につつまれていたことを証明する言葉の数々。井本先生はとにかく生徒たちが大好きなんです。「子どもたちがかわいいでしょ」や「朝は最高ですよ。もうすぐ会えるんですから。早く会いたいのに車の信号待ちはいらいらする。」などなど、生徒への愛があふれ出ていました。これはお母さんに愛情たっぷり育てられた経験からきているんだろうと感じました。その生徒たちがとにかく真剣に考え、笑顔でこの時間を過ごせるかという視点で授業作りがされているのだと思います。

 この教育観というか授業作りから思うことがあって、それは自分は自分が受けたい授業をやっているんだなーということ。僕は結構影響を受けやすいと思っています。本を読んだらすぐその内容を実践したり、いいなと思ったものは取り入れたりします、結構すぐに。ただ、人から教えてもらうより自分で本を読んだり調べたり体験したり、の方が多いですね。そうやって自分を成長させてきたというか。授業もそんな感じが多いんです。結局自分でやらないとわかんないよとよく言うんですけど、自分で考えよう、友達同士相談もしていいから、自分でわかろうと思って取り組んでみようという感じ。それがいいかどうかは置いといて、自分の授業スタイルは自分の行動のクセというか、すごい根っこの部分が大きな影響を与えていると振り返ることができました。

 

 最後に、これから使いたいなと思ったのは生徒にちょっかいをかけまくることですね。見た人はわかると思いますが、井本先生はすれ違う生徒にひたすらちょっかいを出しています(笑)。でも、用がなくてもコミュニケーションをとることは大事だなと思いだすことができました。用がなくても話すならそれはあなたに興味がある、関わろうと思っているんだよという意思表示になる。結構最近は事務的なつながりというかホームルームでは連絡事項を伝えるだけおじさんになっていました。それでいいのかなーと思っていたのですが、それじゃよくないですね、というかつまんないです。授業の手法うんぬんより教育観や生徒との関わりを考えることができた良い機会でした。1月26日。