I wanna go to alps.

教育のことしか書きません。たぶん。

最近の授業と、教科書をこえた授業を作ってきたいという話

 日曜日にかなり考案して、今日更新。人とこのブログのことを話すと書きたくなる。あとは、もう一人の部活顧問と土日を交代して担当しているからできることだなと思います。ゆとりがないと自分の実践を振り返ったり、本を読んだりなんてしないでゴロゴロするしかしません。部顧問の環境としては、悪くないと思っています。

 

 今回の内容は、前々回のブログでちらって書いた最近授業で問題の解説していないってこと含めて、自分はいま何を考えて授業をしていて、どんなことを乗り越えたいかってことをまとめます。引用もありますが、かなり長くなりました。5000字超えの超大作!笑

 

目次

1.最近に授業 物理基礎

2.次に目指すこと

3.「教科する」授業と真正の学習について

4.書きながら思ったこと「やっぱ同時に大量の科目のテストをする、定期テストっていらないんじゃないですか?」

5.3学期中に教科する授業を一つ作りたい

 

1.最近に授業 物理基礎

 1年生の物理基礎での実践ですが、こんな型を試そう、と始めたわけではないです。ちょっとした改善を繰り返しているうちにこんな感じになりました。今は波について教えています。

 流れとしては、まず内容の説明。波はウェーブマシーンという波を起こしてくれる演示のための実験道具があります。これをスローモーションで動きを撮影し、全員で確認することができるのが、かなりおもしろい。波の干渉、独立性などといった特性を見やすく示すことができます。各教室電子黒板があるので、写真や動画に電子ペンで書こめます。携帯がiPhoneなので、HDMI変換のアダプターを使って自分のスマホを接続しています(仕事用のiPad欲しい)。今はとにかく波というものの特徴を理解しよう、と言っているので「前の演示で見たけど、こんな特徴あったよね、じゃあそれを今日はやっていこう」とか、「これが定常波って波なんだけど、普段の波とどう様子が違う?それをホワイトボードにまとめよう」とかするのがイントロです。そこから基本的事項をぱぱっと教えることが多いです。でも、これはこう、と教えるだけじゃなくてできるだけ前の内容とつながる部分は「例えばこの波とこの波が重なると、どうなると思う?ちょっと横の人と確認してみましょう」みたいな感じで進めていくことが多いです。

 

写真1 これは写真ですが、こんな感じの動画を見せてます。

 

写真2 プリントの写真を撮って、このマス目に電子ペンで書き込んで説明します。

 

→写真載せられていないみたい。どうするんやろ...。

 

 じゃあここまでのことを使って問題演習をしてみましょう、といった感じで問題演習に入ります。一つくらいは解き方示すかな。周りといくら相談してもおいいよ、様子はみますがとりあえず時間制限は10分です、とか伝えるのが多い。その後はひたすらに机間指導。1人1人みて、これは合っている、ここ違う、ヒントはこれ、どうやら後ろの~くんがわかっているっぽい、っていう感じで全員checkします。話し過ぎたら一気に時間なくなるから、捕まえてずっとここで説明してもらおうとする感じの生徒から離れるのが結構難しい笑。全体的におんなじ所でつまってるなーと思ったら前で一斉にヒントだします。でもその前にはじめの方の解答は早めに提示します。提示してからがかなり周りの人との交流が進む。え、なんで?とかどうやったんそれ?とかが広がるからだと思います。あと残りの解答は解答を書いたプリントを2つくらい用意しといてそれを前に置いておいたり、読みたい生徒に渡したり、最後に解答だけ前に書いたりします。説明しないです。今扱っている問題は簡単な方なので、かなりの割合の生徒がわかります。あと、教科書会社が解答を載せているネットのページを用意しているので、まぁ大丈夫か、と思ってます笑。今のところ苦情はない。結構わかっているのにまたその説明するのはそれはそれで苦情きそう笑。ただ、はやくわかる生徒は結構暇になるので発展問題はちょくちょく用意した方がいいなと思ってます(今の内容と違うページ読んでるし、あいつかなり暇してるなーとか、あります)。残り5分で振り返りカードを記入しておしまい(今日重要と思ったこと、わかったこと・わからなかったことなど)。

 嬉しいことに、最近の授業はなかなかみんな寝ないです。もちろん授業の内容とは別の話をする生徒もちょいちょいいたり、すげー騒がしくなるときもありますが、何とか物理の方へひっぱろうと話しかけます。

   

2.次に目指すこと
 ただ、目指すところは全員寝ないで授業を成り立たせることじゃないので、次のステップにいかないといけない。
生徒たちは知識を蓄えたけど、これが授業をこえた知識ではないと思っています。問題は解けるようになった。
でもそれがテストで点が取れるようになるための知識であって、それ以上じゃない。問題が解けて楽しいだけ。これを乗り越えないといけないと思っています。
今の目標としては、指導要領の目標は当然ですが、今のうちの学校の生徒の課題としては、勉強することは苦痛、おもしろくないっていう意識があることだと思っています。

 

新・指導要領の目標 物理基礎

第2 物理基礎 1 目 標
 物体の運動と様々なエネルギーに関わり,理科の見方・考え方を働かせ,見通しをもって観察,実験を行うことなどを通して,物体の運動と様々なエネルギーを科学的に探究するために必要な資質・能力を次のとおり育成することを目指す。

www.mext.go.jp



 難しくいうと、学ぶことへの肯定感を持って欲しい。勉強するっておもしろいな、このことをとことん学びたい、とか思ってほしいなってかんじです。最近テニスでも、アドバイスできなかったり、話し合おうと思っても何も言えないならテニスの知識が足りないってこと。上手くなりたいならテニスの勉強をしよう、と言っています。
テクノロジーもさらに進化するし、今持っている知識・技能だけじゃ対応できなくなることが多分大人になってからもある(教師も指導要領は10年ごとに変わるわけですし)。学ぶことが苦痛だと将来的に大変。

3.「教科する」授業と真正の学習について

 

 

 そこでこの本のことはかなり使えるんじゃないかなと思ってます。 正直、上手いことアウトプットする自信はまだないので、読んで確かめて欲しいのですが、一部だけ。
理解というのは知っている、わかる、使えるの三重円モデルになっていること(そんな簡単なものではないですが)。以下の『』内が引用
p.26『また、学力・ 学習の質的レベルをふまえると、「考える力を育てるかどうか」という問い方ではなく、「どのレベルの考える力を育てるか」という発想で考えていかなければならないことが見えてきます。従来の日本の教科指導で考える力の育成という場合、基本的な概念を発見的に豊かに学ばせ、そのプロセスで、知識の意味理解を促す「わかる」レベルの思考力(解釈、関連付け、構造化、比較・分類、一般化・特殊化<帰納的・演繹的推論>など、理解志向の思考)も育てるというものでした(問題解決型授業)。
 しかし、「折れ線グラフ」や「棒グラフ」といった個別の内容の内容を積み上げていくだけでは、それら一つ一つをいくら豊かに学んだとしても、目的や場面に応じて個別の知識・技能を総合する「使える」レベルの思考力(問題解決、意思決定、仮説的推論を含む証明・実験・調査、知やモノの創発など、活用思考の思考)を発揮する機会が独自に保障されねばならないのです。』
 レリバンスを著者は有効性と訳しています。
 p.39『ただし、レリバンスの重視は、教科指導における実用や応用の重視とイコールではありません。教科の知識・技能が日常で役立っていることを実感することのみならず、知的な発見や創造の面白さにふれることもレリバンスの回復につながります。よって、教科指導における「真正の学習」の追求は、「教科を学ぶ(learn about a subject)」授業と対比されるところの、「教科する(do a subject)」授業(知識・技能が実生活で生かされている場面や、その領域の専門家が知を探究する過程を追体験し、「教科の本質」をともに深め合う授業)を創造することと理解すべきでしょう』

 ここで書くためにまた読み返していますが、前読んだときよりもさらに気づくこと、納得したことがたくさんでてきて、本に傍線引きすぎてやばい笑。でも、このレベルの本の意味をわかるようになったんだなとしみじみ。
p.44に書かれている『正答から授業を始める』ということをちょっと今後考えていきたい。『子どもたちから自由に意見を認めるといっても、結局教師が求める意見だけが取り上げられることもしばしばです。』なんて、アクティブラーニングってやつをやればいいんでしょう?っていう人には展開されがちな気がするし、実際自分もしちゃってるし...。正答主義の学習観からなかなか出れてない。この学習観から出るためにも、正答から授業を始めることをしていきたい。これはやりやすそう。
 真正の学習については、もう読んでください笑。パフォーマンス課題関連です。

4.書きながら思ったこと「やっぱ同時に大量の科目のテストをする、定期テストっていらないんじゃないですか?」
定期テストの問題は何かというと、やっぱり点を取れることが大切っていう学習観を作り上げることじゃないでしょうか。学び続けること、学ぶことのおもしろさの方へ持っていきたいのに、評価が問題演習だから、持っていけない。問題演習を積み重ねて、解ける快感を与えられるくらいかなぁ。地元の友達が有名大学へいったけど、自分が数学が好きなのは解けた感じがおもしろいだけで、数学そのものが好きなわけではなかったっていう言葉はよく覚えています。受験を突破するというミッションを持った学校にいた人ですが(もちろんHPみても理念をそのように掲げてはいないと思いますけど。でも大学実績でそこへ入学する人は多そうです)。もちろん、生徒たちも自身の理解度を測りたいでしょうから、単元テストはあっていいかなとは思いますが、教科書みながら受けるテストでいいかなぁと思います。時間制限はありで。難しすぎてもできないから、何度もやり直しできる、はいいかもしれないけど、一回でクリアした生徒に群がりそう。毎回違うテストにするこちらサイドの熱量がいるな...。
定期テスト以外で点数をつけるとするなら、あとはやはり真正の評価か。あれはかなり時間がかかるので、対策が要る。あれを何本もやるなら、部活をみることなんて100%無理です。
 そしてそもそも、なんで成績(というか点数)ってつけるのでしょうか。到達度のcheckといえど、理解度や興味の度合いが違う人たちを同じタイミングで数字をだすことにどれだけ意味があるのだろう(うちの高校の通知表って本当に数字しか載っていないですよ)。一人一人をみとって、ここまでできているから次のこの内容のこれを説明できるように勉強してみて!とかってどうだろう。これをするには2コマ5クラス(200人)、3コマ1クラス(20人)、学校設定科目2コマ(複数人の教員で40人ほどを担当)を7時間45分×5日でさばける気はまったくしない。どうしたものか...。でも、ただの理想ではなくて、現場の一教員として、落としどころを見つけて仲間とやれることを一つずつやっていきたい。それが次の「5.3学期中に教科する授業を一つ作りたい」

5.3学期中に教科する授業を一つ作りたい
 調べる目標だけ定めて、実験する方法を考えなさい、も教科する授業として言えそう(というか、パフォーマンス課題か)。力学的エネルギー保存則が成り立っているかを検証する実験は仕事・エネルギー単元の最終的に目指す大きな課題として来年度も据えられそう。やはり、物理基礎でもう一つ増やしたい。波か、熱か、もっと序盤の力学か。もしくは2年生の物理か。
 大きな課題だけでなく、教科する授業をベースにしつつ、で。こっちで教室に思考する文化ができあがらないと、正答主義から脱却できないしなぁ。まずはここからな気がします。これ書いててさらに感じたのは『学び合い』で問題演習を繰り返すだけなら(例えば数学で問題与えるだけとか)この正答主義から脱却できないんじゃないかな?これもやり方によるといったところか。また考えよう。
 教科する授業が日本が今まで少なからず積みあげてきた『基本的な概念を発見的に豊かに学ばせ、そのプロセスで、知識の意味理解を促す「わかる」レベルの思考力も育てる(問題解決型授業)』(p.26引用、()は削除した)をベースとしてやっていけることが、他の先生への普及に繋がりそうだし。今の文化から徐々に変わる、じゃないと日本の現場は拒否反応を示しがちだし、圧倒的カリスマ校長がいないと変わらない。草の根的に広げていくことが大切そう。この教科する授業を一人でやってても仕方ないから、同僚を巻き込んでいきたいなぁ。一人でやってるだけなら自己満足。それも大切だけど、生徒の中の見方・考え方まで変えたいなら多くの教科、授業でなされないと、と思う。本気だしてやるなら校長にお願いしてプロジェクトチーム作ることからか...。さすがにイモるけど、ちょっとやろうかなと思えてきました。ブログに書くこと大事。
 では今後の方針が決まったことなので、また後日。正直、今回の記事はかっっっなり時間かかりました、当分更新はないかもしれません笑。
 あ、でも、為末大さんが指導者について書いてて、思うことがあったから、また書くかも...。最近平日にゆとりが出てきたので、それがやっぱり大きいですね。少し頻度がんばってあげるか。1月28日。